メイン回線はOSPFやBGPで動的に、バックアップ回線はスタティックで——という構成でよく使う「フローティングスタティック」を、ラボで検証しました。
目的:普段は使わない予備経路
メインが生きている間は予備経路を使わず、メインが落ちたときだけ予備へ切り替えたい。これを実現するのがフローティングスタティックルートです。ポイントは**アドミニストレーティブディスタンス(AD)**の調整です。
ADとは経路の「信頼度ランキング」
複数のプロトコルが同じ宛先を教えてきたとき、ルーターはADが小さいものを優先します。代表的な値は、
- スタティックルート … 1
- eBGP … 20
- OSPF … 110
- iBGP … 200
通常のスタティック(AD=1)はOSPF(110)より強いので、放置するとバックアップのはずのスタティックが常に選ばれてしまいます。
ADをわざと大きくする
そこで、バックアップ用スタティックのADを、メインのプロトコルより大きい値に設定します。
ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 203.0.113.1 200
末尾の 200 がADです。OSPF(110)より大きいので、OSPF経路が生きている間はスタティックはルーティングテーブルに載りません(フロート=浮いている状態)。OSPF経路が消えた瞬間に、このスタティックが降りてきて有効になります。
ラボでの確認
メイン経路がある状態:
show ip route
→ O 0.0.0.0/0 ... (OSPF経由) ※スタティックは非表示
メイン側インターフェースを shutdown すると、
show ip route
→ S* 0.0.0.0/0 [200/0] via 203.0.113.1 ※スタティックが有効化
に切り替わりました。復旧させると再びOSPFへ戻ります。
まとめ
- 予備経路はスタティックのADを上げて「浮かせる」
- メインが消えたら自動で降りてくる
- 切り替わりを実機で確認しておくと安心
シンプルですが、回線二重化の基本パターンとして現場でも頻出だと感じました。