「家に何台も端末があるのに、なぜ1つのグローバルIPでインターネットに出られるのか」。答えはNAPTにあります。NATとの違いを整理します。
NATは「IPの張り替え」
NAT(Network Address Translation)は、プライベートIPとグローバルIPを相互変換する仕組みです。基本形(スタティックNAT)は、プライベートIP1つにグローバルIP1つを対応させます。
192.168.1.10 ⇔ 203.0.113.10
これでは端末の数だけグローバルIPが要り、現実的ではありません。
NAPTは「IP+ポート」で見分ける
そこで実際に家庭や企業で使われているのがNAPT(別名PAT、IPマスカレード)です。IPアドレスに加えてポート番号まで書き換えることで、1つのグローバルIPを多数の端末で共有します。
192.168.1.10:50001 ─┐
192.168.1.11:50002 ─┼→ 203.0.113.1 の別々のポートに変換
192.168.1.12:50003 ─┘
ルーターは「どの内部端末のどのポートを、外側のどのポートに割り当てたか」を変換テーブルで管理します。戻りのパケットは、この対応表を逆に引いて正しい端末へ返します。
戻り通信をどう振り分けるか
外から見えるのは 203.0.113.1 の1つだけ。でもポート番号が端末ごとに違うので、返ってきたパケットのポートを見れば、どの内部端末宛てか一意に決まります。ポート番号が「宛先の内線番号」の役割を果たしているわけです。
Cisco設定例(NAPT/PAT)
interface Gig0/1
ip nat inside
interface Gig0/0
ip nat outside
ip nat inside source list 1 interface Gig0/0 overload
access-list 1 permit 192.168.1.0 0.0.0.255
末尾の overload がNAPT(ポート多重化)の指定です。
確認コマンド
show ip nat translations
で、内部IP:ポート ⇔ 外部IP:ポートの対応表が見られます。
まとめ
- NAT … IPを1対1で変換
- NAPT … IP+ポートで多対1に変換(家庭・企業の標準)
「グローバルIPが枯渇しているのに繋がるのはなぜ?」の答えが、このポート多重化です。ネスペでも実務でも土台になる考え方なので、変換テーブルのイメージを持っておくと理解が一気に進みます。